サレジオ学院中学校の卒業生に学校のリアルをインタビュー
25歳の君たちへ。キリスト教の学び舎で送るのびのびとした学校生活。充実した進路のサポートとともに、教師、そして神父から人生を学ぶ。
聞き手:
インタビュー日:2023年12月28日
卒業生経歴
サレジオ学院中学校 → サレジオ学院高等学校 → 横浜国立大学理工学部2年(インタビュー時)
どうも、29歳4浪4留、大学2年生の藤井四段です。29歳にもなると、高校同期のインスタでの結婚報告の投稿がもはや日常茶飯事になります。「幸せだった!」と書かれている高校同期の投稿の中には、教会で外国人の神父の方が新郎新婦に向かって「永遠のアイを誓いますか?」と、少しぎこちない日本語で話している場面の動画もよく目にします。キリスト教っぽい雰囲気こそが重要なんだろうなと、その様子を見るたびに思います。ちなみに僕はいまだになぜか、高校同期の結婚式に呼ばれたことはありません。アイって何だろう?
今回は、サレジオ学院中学校・高等学校を卒業し、現在横浜国立大学理工学部に在籍しているAさんにインタビューしました。キリスト教系の学校の中でも特に宗教色が強いといわれるサレジオ学院での学校生活はどのようなものなのでしょうか?
テニスの王子様に出会える?きれいな校舎でのびのび過ごす学園生活
――まず、サレジオ学院中学校・高等学校にご入学された動機をお聞かせください。
偏差値的な問題で自分にレベルがあっていたのと、上の兄弟が通っていたのが主な理由でした。中学受験は他に神奈川大学付属中学校と浅野中学校とを併願で受けて、神奈川大学付属中学と、サレジオ学院に合格しました。併願校でいうと、基本的にサレジオ学院の受験生は浅野中学校も受験している人が多いと思います。
――浅野中高は神奈川県の中でも特にレベルが高い学校だと聞きます。そこと併願で受ける人が多いということは、サレジオ学院中高もレベルが高い学校なんですね。
個人的に浅野中学校に落ちてサレジオ学院に来ている人が多かったイメージがあります。大学の進学実績でいうと、1学年全体180人のうち、5~10人ほどが東大に行くくらいのレベルだと思います。
――東大に進む人もいるんですね。勉強面のレベルもそうですが、校舎もきれいで魅力的ですよね。ホームページの写真を見て驚きました。
そうですね。校舎が広いのは進学を決めた理由の中でも大きな要因になったと思います。校庭もあって、この間芝になったばかりできれいになっています。中学のテニス部が全国レベルで強く、テニスコートもたくさんあって『テニスの王子様』のテニス部のモデルになっているという噂もあります。
――のびのびと過ごせそうで良いですね。広い校舎で校庭もあるとなると、部活動も不自由なくできそうですね。Aさんは部活はされていましたか?
中高サッカー部でした。中学時は全員が部活に入るようになっていて、ほとんどの人がまじめに活動していたイメージがあります。高校ではそれが自由になって、私も体力的な負担の少ない将棋部に改めて入りなおそうと思ったのですが、高校から部活を辞める選択をする人が多く、サッカー部の人が足りなくなりそうだからと顧問に説得されてそのままサッカー部に残りました。
――部活動は週3回という制限があると聞きましたが、少ないとは思いませんでしたか?
練習は週3回でしたが日曜日に練習とは別で他校との練習試合があったので、実質週4のような感じだったと思います。部活の時間が少ない分、自由な時間が多く取れたというのはあったと思います。
――いいですね。練習は厳しかったですか?特にテニス部は強豪とのことなので、厳しそうなのかなと思いますが。
中学のテニス部は厳しかったと思います。教えていた先生がもともと松岡修造とダブルスを組んでいた人らしく、松岡修造ばりの厳しい指導だという噂があります。(笑)
――松岡修造さんの元ペアというのはおもしろいですね。夜遅くまで練習することもあるのでしょうか?
部活内の練習時間が長いというよりも、みんな自主的にというか、部活とは別でテニスのスクールに通っている人が多かったと思います。部活もちゃんとやってからスクールで別で練習していたみたいです。サッカー部よりテニス部の人のほうが余裕で体力があったと思います。
――体力おかしいくらいありますね。若いっていいですね…。部活全般で結構スポーツに力を入れて厳しくやっていたのでしょうか?
練習が厳しいのはテニス部だけだったと思います。体育会系の部活全体が厳しいということはなく、それぞれの部活の担当の先生次第だとは思うのですが、テニス部は松岡修造の元ペアだったので…(笑)
授業で学ぶキリスト教。チョコレートに込められた愛の精神?
――サレジオ学院はキリスト教系の学校だということで、今日お話を聞かせていただくのをとても楽しみにしていたのですが、キリスト教系の学校に進学することに抵抗はありませんでしたか?
もともと幼稚園からキリスト教系の学校に通っていたので特に抵抗はありませんでした。
――そうなんですね。普段の学校生活はどんな感じなんでしょうか?キリスト教系の学校ならではのことなどはありましたか?
宗教が当たり前の環境に染まってしまっているので何が特別かと言われると難しいですが、普通の学校でいう道徳の授業のような立ち位置で、宗教の授業がありました。
最初に聖書がひとり一冊配られて、中1の時には校長先生から直々に教わっていました。授業内容は聖書を読んだりそれについての解釈を教わったりもしますが、先生によってはかしこまった宗教の話というより日常の雑談のような形で授業をする人もいました。全員が全員キリスト教を強制しようというスタンスではなく、あくまで個人の自由が尊重されていたと思います。
他にも、朝の授業が始まる前の時間に、洗礼を受けた神父の方のお話が放送で15分ほど流れる日もありました。朝の時間に流れる話の内容は学校のサイトに毎回載っているので、誰でも見られるようになっています。
――すごいですね。ちゃんと宗教っぽい。
朝の時間の話だと、校長先生のされていた話が雑談交じりで面白く、特に印象に残っているのでぜひサイトで確認してみてほしいです。校長先生は本当に面白い人で、ハロウィンの日には毎年校門の前でコスプレ姿で立って生徒にチョコレートを配っていました。今年はスイカゲームのコスプレをしていたみたいです(笑)ハロウィンの日にチョコレートを配っていたのは、男子校で2月のバレンタインにもらえない分の配慮だったのかもしれません。
――スイカゲームのコスプレをする校長先生ってキャラがすごいことになってますね(笑)。
本当に面白い人で、生徒からも好かれていたと思います。宗教的なものでいうと、他にもミサという行事があります。
――ミサって何ですか?歌ったり踊ったりする感じですか?
踊りはしません(笑)歌ったり、神父が何か言った後にそれに続いてみんなで何か言ったりする儀式みたいなもので、礼拝のちゃんとしたやつというか、格式ばった礼拝というイメージですかね。「感謝をささげる」みたいな雰囲気だと思います。
――コールアンドレスポンス方式ですね。
そうですね、「精霊が汝とともに、また司祭とともに…」みたいな感じの文言を教会に集まって斉唱していました。クリスマスや感謝祭のような宗教的に意味のあるタイミングで行われていたと思います。
――いかにも、という感じですね。学校に教会もあるんですか?
学校に教会があります。区の条例で建物に関するルールがあるのですが、その中でも教会を作れるのはサレジオの学区内だけ、という風に決まっているんですよ。
――特例が認められているなんてすごいですね。こう言ってしまうのも失礼かもしれないのですが、個人的に学校の行事って格式ばったものであればあるほど面倒くさいなと思ってしまう気がします。ぶっちゃけた話、生徒の中には嫌々やっている人もいたのではないですか?
答えにくいですね(笑)でも、中には寝ている人もいたと思います。生徒の中には「洗礼」を受けていて信心深い人もいましたが、1学年に4,5人くらいで一部でしたね。先生の方は洗礼を受けている人も多くて、教頭先生のような高い役職の人はだいたい洗礼を受けていて「教師兼神父」といった感じでした。外国人の先生はほとんどが洗礼を受けていました。
ネイティブの先生に学ぶ生の英会話。小テストを制する者は、数学を制す
――外国人の先生がいるというのもキリスト教系の学校ならではかもしれないですね。そのような環境だと、英語の授業が特殊だったりするんですか?
そうですね、ネイティブの先生が担当する英会話の授業がありました。スピーキングというか、ネイティブの文化に触れてみよう、みたいな授業でした。
――それはみんな受けられる感じなのでしょうか?
必修のような感じでみんな受けていました。受験期に受験対策の授業に切り替わるというわけでもなく、高校3年の冬まで授業として残っていましたね。なので英語に触れる機会は他の学校よりも多くなっていると思いますが、私個人は英語が苦手でした(笑)。
――文系科目難しいですよね、わかります。塾には行かれていましたか?
大学受験用の塾には通っていませんでした。でも学校全体の割合でいうと、7,8割の人は塾に通っていたと思います。人によっては塾というより自習室目当ての人もいましたが。
―― Aさんは前期に東工大を受けられたとのことですが、よく塾に通わずにチャレンジされましたね。学校での成績は上位のほうだったのでしょうか?
成績は真ん中くらいでした。理系の中だと、90人中40位くらいだったと思います。だいたい成績順で上位30人が頭のいいクラスに入ることになっていたので、私は2番目のEクラスでしたね。
――コース別に分かれるんですね?
そうですね。中学ではコース分けはないのですが、高校2年から学力順にコース分けされて、文系がABC、理系がDEFの合計6クラスありました。それぞれC組、F組がトップの人たちで、他の2クラスはそこまで大差はなかったように思います。 F組の人は推薦が取れない決まりになっているので、推薦で大学に行きたくてあえてF組に行かずにほかのクラスに行く人もいましたね。基本的に定期テストの成績が考慮される形で、高2から高3に上がるタイミングのクラス替えでクラスが上がる人もいました。
―― Aさんは後期で横国に入ったとのことですが、成績が真ん中くらいのE組でそれくらいだと考えると、上位の人はとてもレベルが高いのだろうと推察できますね。
そうですね、だいたいのイメージでいうと、上位30人に入っているF組の人は、多くの人が東工大や早慶に行くという感じだったと思います。上位の人は本当にレベルが高かったです。そういう意味では学校内での学力差もあったように思います。
――ご自身は成績はずっと真ん中くらいだったんですか?
最初は成績が悪かったのですが、高1の途中から危機感を感じてそこから頑張って参考書や問題集を使って自分で勉強するようにしてなんとか真ん中をキープしていました。授業の課題も特別多いというわけではなく、自分の勉強に時間を使うことができました。
――成績が悪い人へのフォローなど、学校のサポートはありましたか?
定期テストや、受験期の授業で毎回出ていた演習問題で、点数が低かった人が受ける補習みたいなのがありました。特に数学の先生はとても手厚くて、毎回授業で小テストをやって、その日のうちに返却して点数の低い人は放課後に追試をやるというのをやっていた先生もいましたね。その分もあって、私の代の数学の平均点が高くなっていた面もあったと思います。また、数学の先生が数学オリンピックに出ることをお勧めしていたのもあって毎年何人か出場していました。数学に興味を持つきっかけになったと思います。
――素敵な先生ですね。
そのほかにも、進路に関するサポートもありました。例えば2泊3日での進路相談会みたいなイベントがあって、施設を借りてOBを呼んで進路についての話を聞く機会がありました。東大や一橋に進んだ社会人2年目くらいのOBがたくさん来て、それぞれ話を聞いていました。
――泊りでの進路相談会があるんですね。それはためになりましたか?
文理選択という意味ではためになりましたね。他にも、「25歳の”オトコ”づくり」というスローガンを掲げて将来について考える取り組みもありました。
君たちはどう生きるか?「25歳の男づくり」
――「25歳の”オトコ”づくり」…漢字の「漢(おとこ)」ですか?「漢たるもの義理・人情・恩返し!!」みたいな?
漢字は普通の男ですし、そんなに暑苦しいものではないと思いますね(笑)「25歳の男づくり」です。意味でいうと、「社会人3年目くらいの仕事に慣れてきて自分の将来が見え始めてくる25歳を一つの節目として、その時になりたい自分になっているためにはどうすればいいのかを考える」という話だと思います。
――「25歳の自分がどんな風になっているか」、ですか…
それに対する取り組みとして、自分は何がしたいか、それを実現するためにはどういう進路に進むのか、といったような進路について考える機会があったり、生徒の保護者を呼んで、仕事について話を聞く機会があったりしました。毎週月曜の6限の授業で時間を取ってやっていました。
――なるほど…
その月曜6限の時間は結構自由に使えるようになっていて、文化祭の準備に使ったり、高校では論文を書いたりしていました。
――25歳…
かわいい子には論文を書かせよ。自分と向き合いテーマを決める論文8000
――ええと、高校生で論文を書くんでしたっけ?時期でいうといつごろでしょう?
高2の時に「論文2000」というのがあって、高3でその応用として「論文8000」という論文を書きました。最終的にそれぞれ2000字と8000字の二つの論文を書くことになるのですが、基本的に二つとも同じテーマについて書く人が多かったと思います。論文2000のテーマはSDGsに関するものを選ぶことになっていて、そこにも「25歳になった自分が何に奉仕するか?」について考えるきっかけを作るという意図があったように思います。
――高2高3で論文を書くことになると、受験勉強のほうは大丈夫なんでしょうか?
心配ですよね(笑)一応ちゃんと取り組めば授業時間内で終わるようにはなっていて、高3時はさすがに受験期に被らないように年度の初めのほうにやっていました。授業時間内に作業を進められる人はそんなに苦労していない印象でしたが、自分は授業時間中にいつも友達と雑談していたので必然的に授業外の時間も使う羽目になっていましたね(苦笑)。
――大変ですね。みなさんまじめに取り組んでいたんでしょうか?
論文8000の方は論文を書いたあと、最後に一つ下の学年に発表することになっていたので下手には書けないという事情があり、みんなちゃんとやっていました。高3の時期にやらせるのか…って感じで、正直面倒くさかったですけど(笑)
――論文完成の期日にはみんな間に合っていましたか?僕だったら絶対に間に合わないと思うのですが…
間に合わない人もいます(笑)そういう人は参考文献をうまく使って文字数稼ぎをしたり、URLを乗せまくって楽をしたり、あの手この手で終わらせていましたね。
――受験勉強の時間を削ることになるのでそうなってしまう人もいますよね。安心しました(笑)。論文8000の作成を通して、やってよかったと思いますか?
大学に入ってから実験レポートを書くときに抵抗なく書けているので、やってよかったと思います。考察の書き方や、論文ならではの文体に慣れることができたと思うので。あとは単純に論文が面白かったというのもありました。それぞれ取り上げているテーマが本当にばらばらで、「ゲームはどのように進化しているのか」というテーマもあれば、VRについて取り上げていた人もいました。本当にそれぞれが自分の興味のある内容を扱っていましたね。
――興味を持って書きたいことを書けるのは魅力的ですね。ちなみにAさんは何について書かれたんですか?
論文8000は「人工知能が人間の職業を奪うのかどうか」をテーマに書きました。論文2000の方はまったく違うテーマで、「フィリピンの貧困について」書きました。
――フィリピンってすごいですね。もともと興味があったんですか?
個人的には書きやすそうなテーマを選んだという感覚でした。フィリピンって日本と同じくらいの人口がいるんですけど、日本に比べて経済格差は大きいんですよね。人口が多くてかつアジアという、日本と共通の要因を持っているフィリピンを題材に選びました。学校側から毎年語学研修の募集があって希望者は毎年フィリピンに行ける制度があるんですけど、それもあってフィリピンという国が身近だったというのもあるかもしれません。
一週間の修学旅行。バチカン市国でルーツをめぐる
――海外から来ている先生や語学研修の存在など、海外との繋がりが多いのもキリスト教系ならではの部分もありそうですね。修学旅行も海外だったのでしょうか?
修学旅行はイタリアに行きました。修学旅行に行く学年は例年イタリアに行くことになっているのですが、自分たちのひとつ前の代の時がヨーロッパの情勢不安で、一つ後の代がコロナで行けなくなっていました。
――イタリアなんですね。キリスト教系でイタリアということは、バチカン市国とかですか?
バチカン市国も行きます。バチカンのバチカン美術館を貸し切りで回ったりしました。
――え、すごいですね。
キリスト教系の中ではうちは結構力が強いみたいで、ローマ法王が日本に来日されたときにも全員で見に行ったりしていました。「サレジオ」という名前の由来であるカトリック教育修道会「サレジオ会」のルーツがイタリアにあるのも関係しているみたいです。とはいってもすべての行程が宗教関係というわけではなく、ローマで観光したりもしていました。
――いいですね。イタリアに行くのはどのタイミングでしたか?
中3でしたね。7泊8日くらいの長期の日程で、北のほうから南下していって最後にローマに行って、現地でグループに分かれて散策しました。修学旅行規模の遠征するイベントはその一回だけでした。別で何回か遠足のような「自然に触れよう」みたいな感じの泊りのイベントはありましたけど。
――見知らぬ国に行くのは不安ではなかったですか?トラブルはありませんでしたか?
ありました。何人かスリにあってお金や荷物を取られたりしたようです。「スリなどには気を付けてください」と最初に言われるのですが、どうしてもという部分はありました。ボディーガードも数人雇っていたみたいですけどさすがに全部は見られないので。
――厳しい経験になりましたね。リアル「かわいい子には旅をさせよ」ですね。
宿泊学習で学年の仲を深め、独自の習慣で集団行動を学ぶ
――修学旅行は中高通して一回きりとのことでしたが、他の小規模の泊りのイベントというのはどちらに行かれたんですか?
中1の時にオリエンテーション合宿のようなイベントで2泊3日で静岡のほうにある宿泊施設に行きました。「自然を体験しよう」みたいな感じのイベントだったと思います。その他にも、先ほど話していた先輩の話を聞くイベントとは別で2泊3日の勉強合宿もありました。勉強合宿は高2と高3の時にあって、泊まり込みでみんなで勉強していました。
――え、合宿で勉強しに行くんですか?泊まりのイベント多くないですか?
そうですね、修学旅行が一回しかないこともあって、そういった機会が多くなっているのかもしれません。勉強合宿では、期間中は朝から夜までずっと全員で自習していました。わからないところがあれば同伴している先生にも聞けるようになっていました。あ、今思い出したのですが、中1のオリエンテーション合宿が終わったあと数日置いてからまた別のイベントで野尻湖に2泊3日で行っていましたね。
――…めっちゃ泊まるの好きですね。
高1の時の進路ガイダンスも2泊3日でした。そんな感じで泊りの機会が多いのと、学年の人数が比較的少ないのも相まって、クラスの人と比較的仲良くなりやすい環境だったと思いますね。
――いいですね。生徒がのびのびと過ごしている様子が目に浮かびます。他にサレジオ学院ならではの事柄はありますか?校則とかに特殊な項目があったりとか?
校則に特殊なルールはありませんでしたね(笑)特に校則が厳しいということもなく、制服があって、髪は染めるのが禁止で長すぎなければOKで。スマホは持ち込んでも大丈夫なのですが、朝の時点で貴重品袋に入れて回収されることになっていて財布などと一緒に預けていましたね。全体的にだいたいのルールは中学までは厳しくて、高校からはあまり言われなくなったと思います。校則はそんな感じですが、宗教関係の習慣のようなものはいくつかあったと思います。
――宗教関係の習慣、どんなものなのでしょう?
たとえば、学校に着いたら館内着に着替えるようになっていました。いちおう制服はあるのですが、学校内ではみんな館内着を着て過ごしていました。学校の間はずっとそれで過ごして、帰るときになったらまた着替えるっていう。
――普通の学校出身の僕からすると、どちらか片方だけでよいのではと思ってしまいますね…
そうですよね(笑)高3くらいにもになると学校内でも館内着に着替えない人も多くなったりしていました。高校に入ってからはそんなにルールに関して厳しいことは言われなくなったように思いますね。他にも授業が始まる前は「瞑目」という時間があって、一分ほど全員で目を閉じて心を落ち着かせる時間が取られていました。
――泊りのイベントが多いのもそうですが、そういった習慣も含めて、全体を通して集団行動が多い感じがしますね。
そうですね。それもキリスト教の教えの一つなのかはわからないですが、そう言われてみるとこのようなみんなで共有する習慣や集団行動を多く経験する中で、他の人にやさしくしたり寛容になったりする態度も培われるという一面もあるのかもしれません。
のびのびと過ごせる環境で、サレジオの教育を通して学んだこと
――ここまで大変面白いお話を聞かせていただきましたが、サレジオ学院での三年間を踏まえて、どういう人がサレジオ学院に合うと思いますか?
変にとがっている人でなければ基本的に合うと思います。どんな生徒でものびのび過ごせると思います。進路指導が手厚く、「25歳の男づくり」の活動を通して自分の好きな進路を選ぶことができ、勉強面でのサポートも充実しているためどんな進路でもそれなりにうまくいくと思います。
逆に勉強がそんなに好きではなく、他に熱中したいことがあるという人には向かないかもしれません。僕の友達にも、撮り鉄の趣味の時間が勉強の時間のせいで取れないといって苦労していた人がいたので。そういう意味では生徒にしっかり勉強させる環境のある学校だったんだと思います。あとは集団行動が多いという話もありましたが、やっぱり集団行動が苦手な人はあんまり合わないのかもしれないです。
――ありがとうございます。最後に、この学校に入学してよかったと思いますか?
よかったと思います。第一に広い校舎でのびのびと過ごせたというのと、勉強的な面だとそこまで意識しなくても十分に勉強させてくれる環境があったし、特別にプラスαを入れなくても個人で十分演習できたと思うので。他にも、これは欧米風というか、直接キリスト教の精神と関係しているかは分かりませんが、洗礼を受けている先生方と接しながら学校生活を送る中で、「まず自分が努力しないと結果は得られない」みたいな、”No pain, no gain.”みたいな精神が自然と身についたように思います。
――素敵ですね。ありがとうございました。
その他細かい情報
・学食について
学食はある。中高一緒に使うようになっていて、その影響もありめちゃくちゃ混む。土曜日は午前の授業が終わったあと、午後部活をする人が一気に来るので特に混む。クオリティは普通。主なメニューはA・B定食とカレーとラーメンというシンプルなもので、おすすめはカレー。みんな頼むハニートーストが名物になっている。
・売店について
購買はあるが体育館シューズや文房具のみで、食べ物はない。別に生徒ホールというところに売店があり、そこに菓子パン等の自販機がおかれている。
・プールについて
プールはない。近くにある国際プールを中1時のみ借りて授業を行う。中2以降はプールの授業はない。
・退学について
毎年中学から高校に上がるタイミングで他の高校に行く人が出る。ほとんどが学校に合わないという理由で、たまに別の理由でやめていく人もいる。(成績関係や、テニスが理由。テニス部は中学までは強豪だが、高校から他の学校が台頭してくるため、スポーツ推薦で別の高校に行く人がたまにいる)
・いじめへの対応について
いじめは年によっては起きることもあるが、基本的に温厚な人が多いため、大規模になったことは見たことがない。
・不登校への対応について
カウンセラールームがあり、保健室登校もできる。
・自習室「サビオ館」について
「サビオ館」という自習室があって、塾の自習室のように使える。21時くらいまで空いている。有料で毎月利用料がかかるが、受験期はほとんど満席になる。
インタビュアーあとがき
インタビューを通して、キリスト教の文化を多分に感じる学校生活の様子が想像できて面白かったです。宿泊学習の多さには驚いたのと同時に、それによって多くの集団行動の経験を重ねて他者への理解や配慮を学ぶことができ、そしてそれこそが愛の精神なのではないかと思いました。そんな精神を持った優しそうな人格者が多く通っている、そんなイメージを持ちました。
現在、母校の中高について話を聞かせてくれる大学生を募集中です。詳しくはこちら