成城学園中学校の卒業生に学校のリアルをインタビュー
海外留学後のサポートも万全。面倒見のいい先生のもと、「⾃学⾃習」・「⾃治⾃律」の精神溢れる生徒たちが主体的に活気ある学校行事を作り上げる
聞き手:
インタビュー日:2023年11月27日
卒業生経歴
成城学園中学校 → シンガポール → 成城学園高等学校 → 早稲⽥⼤学教育学部5年(インタビュー時)
今回は、成城学園中学校からシンガポールに2年留学するも、成城学園高等学校に内部編入して学校に戻り、柔軟なカリキュラムのもと好成績をキープ。大学付属校ではあるが、内部進学と外部進学の選択肢を両にらみしながら、最終的には1浪を経て早稲田大学教育学部英語英文学科に合格したAさんにインタビューしました。
海外に2年もいて日本語に触れる機会は減ったのに、帰国後も国語の成績を落とさずに優秀な成績をキープ。そんな彼女を支えたやさしい先生たちや、外部進学・海外留学などの臨機応変な挑戦を支える学校のカリキュラム、そして「成城オムライス」に代表される学校の名物についてお伝えします。
在学中の海外長期留学もサポート!生徒の意思に柔軟に対応
――まず、成城学園中学校・高等学校を選ばれた理由を教えてください。
私は幼いときから海外の出来事に触れる機会があったので、昔から海外に行きたいという思いが強かったんです。それで、国際系の学問に力を入れている東京女学館と一緒に受験しました。ほかの学校にも合格をいただいたのですが、成城はカリキュラムが柔軟で、一度長期留学で海外に行ってもまた学校に抵抗なく受け入れてもらいやすい体制が整っていたので、悩んだ末に成城学園を選びました。
あと、私がこの学校を選んだもう一つの要因としては、制服がない学校なのでみんなお洒落だったというのも、キラキラした学校生活を送れるので魅力的でした。実際、入ってからも校則は厳しくはなかったので、スカートが短い子は割と居ましたね。(これ、はまいさんが変態扱いされないか不安です)
――キラキラしていて眩しいです。当時からすでに海外留学に行くことを視野に入れていたのですね。実際にAさんは中学校2年生から2年間シンガポールに行き、高校から日本に戻ってきているとのことですが、ほかの生徒もそのような感じなのでしょうか。
いろんな生徒がいますね。私のように留学に行く生徒もいれば、大学を含めて10年間、成城にいる人もいるので、かなり自由度が高いと思います。
――なるほど、ちなみにAさんがシンガポールに⾏かれたきっかけはなんだったのですか?
父が海外へ単身赴任することになったのがきっかけです。いい機会だと思って、父親に同行し、学校で手続きをして2年生からシンガポールの学校に行くことにしました。理由は2つあって、英語がずっとうまくなりたかったことと、自分の知らない世界を知りたいと思っていたことが大きいです。私は人とコミュニケーションを取るのが好きなので、他の言語で文化の違う友達を作って話せるようにもなれたらいいなと思いました。
――すごく行動的で素晴らしいですね!ちなみに⾼校からはまた成城学園に戻ったと聞いています。⾼校 1 年の2学期までに成城学園高校に戻ると復学できるという情報を見たのですが、いつごろ、どうやって戻ったのですか?
私は高校の開始と同時に内部編入できる制度を使ったのですが、その際に復学試験を受けて戻りました。いつまでなら復学できるという正確な期限は覚えていないですが、学校のルールに則って復学しました。
試験の順位が張り出されない、個性を重んじる学校教育
――内部編入もいろいろと条件があるのですね。ちなみに復学したあと、周りとの学⼒差はどうなりましたか?中学時代と高校時代の成績と併せてお聞きしたいです。
順位が張り出される学校ではないのでどれくらいの位置だったのかはわからないのですが、中学でも真ん中よりは上だったんじゃないかなとは思います。シンガポールの中学でも勉強をしっかりする方が多かったので、危機感を持って勉強していました。
だから、高校に入っても学力は下がらなかったですね。帰国後初めての定期試験では、35人くらいいたクラスで国語がかなり上位だったらしく、ほっとしました。それからも英語は好きでずっと勉強し続けていましたので、いつも上のクラスの授業を受けていました。全体の成績も、上の方だったと思います。
――勉強熱心だったんですね。好成績をとっていた秘訣をお聞きしても大丈夫ですか?
少なくともテストの2週間前までには試験勉強に手を付けるようにしていました。一度失敗したときはだいたい1週間前からの着手だったので、経験則的に常に早めにやることを意識していました。学校のカリキュラムは柔軟でしたが、試験範囲が広く、覚えることは多かったので、大変だったなと思います(笑)。
――それはすごいですね!9浪して将来苦労してしまうような人に聞かせてあげたいです。ちなみに、Aさんは成績が良かったとのことですが、成績が悪い⼈をフォローする体制は整っていたのでしょうか?
確か希望者を対象に、5教科の補講をしてくれる仕組みがありました。夏休みと冬休みにあって、集中的に講義をしてくれる感じですね。私も一回だけ中学のときに体調不良で試験を抜けたときがあり、夏休みに補講を受けました。
――学校全体でバックアップする体制があるんですね!素晴らしいシステムだと思います。ちなみに付属⾼校に上がるときに、成績不良などで上がれない⼈はいましたか。
成績不良で上がれない人はいました。ですが、学年で3人までにおさまるので多くはありませんでしたね。高校に上がってからも、1~2人くらいは毎年、成績が悪くて留年する人がいました。
――なるほど、思ったより少ないのでみなさん優秀なのですね。ちなみにAさんは高校時代にも海外に行かれましたか?
夏休みのプログラムで短期留学にいきました。そこで私はホームステイを初めてしたのですが、一日中ずっと英語漬けの環境だったので、自分の英語力の足りなさを痛感しました。中学でシンガポールにいたときも、学校などで英語を使う機会は多かったのですが、家庭などの日常生活では日本語で話していました。だから、このホームステイで、日常生活で英語を使ってどうやってコミュニケーションを展開させ、続けていけるかがまだ全然できないなというのを実感・痛感しました。
外部受験は6割?内部への推薦権を持ったまま、外部受験できる独自の仕組み
――自分の足りない部分を痛感して、改善しようされるのは素晴らしいですね。ここまで話を伺ってきて、Aさんは積極的に海外に行って英語の勉強を精力的にされていると感じるのですが、日本で勉強をしているときは塾には通われていたのですか。もし通われていた場合は、通い始めた時期とその理由を教えて下さい。
中学時代は行ってなかったのですが、高校1年生から通塾するようになりました。理由としては、勉強の仕方がわからなかったことが大きいです。高校2年生からは、一般入試に備えるためにもう一つ塾を掛け持ちするようになりました。高2の終わりになると他大学の指定校推薦も視野に入れて小論文の塾にも通うようになったので、一般入試用の塾にはあまり行かなくなっていましたね。
――すごいですね!パワフルですね。成城学園中学・高校は成城大学に内部進学することも可能ですが、中学・高校で塾に通われていた方はどれくらいいましたか?何割くらい通われていたか、わかる範囲で教えていただければ嬉しいです。
中学は1割程度だったんじゃないかなと思います。高校では、外部受験して他の大学に進学しようとする人が6割くらいいたので、そういう人たちはだいたい通っていたんじゃないでしょうか。
――なるほど、外部受験を考えている方の多くは塾に通っていたのですね。成城学園中⾼の⽣徒は半分くらいが成城⼤学に進学するという話もありましたが、Aさんはその中で外部受験しようとしたきっかけがあったのですか。
実は中学に入ったころから、大学受験をする予定だったんです。シンガポールに行ったこともそうなのですが、私は「違う世界を見たい」という願望が常にあって、今の学校と違う環境を経験することで、広い視野を持てるようになろうと思っていました。だから、当時はかっこいいという印象があった慶應に行こうと思っていました(笑)。
内部進学も外部進学も……ギリギリまで進路を悩めるカリキュラム
――早稲田のライバルじゃないですか(笑)。なにはともあれ、目標であった慶應よりも!素晴らしい大学!!(※早稲田卒の筆者の感想です)に受かっているので素晴らしいですね。ちなみに、⼤学付属校は通常、外部受験するための授業にはなっていないとよく耳にするのですが、Aさんは外部受験するにあたって学校の進度やカリキュラム的な不都合はありませんでしたか?
受験用の塾に通っていましたので、学校のカリキュラムで外部受験のための勉強を根本的にカバーしていたかはわかりません。ただ、成城は生徒が希望する進路に合わせてコースを選べる点でとても良心的な学校だったと思います。一般受験をしない内部進学を決めているコースが4クラス、文系受験をするコース・理系受験をするコースがそれぞれ1クラス、内部進学を決めている人と文系受験をする人が混合のクラスが1クラスと合計で7つのクラスありました。ちなみに私は文系受験をするコースにいましたね。
――そうなんですね!ちなみに受験するかしないかは、何年生のどの段階で選ぶのですか?
高校2年生に上がる段階で外部受験するかしないかを選びます。私も外部受験をする決断はしていましたが、ちょっと怖くて迷いがあったので、成城大学へ内部進学できる権利を確保しながら、外部受験しようと思っていました。成城学園高校では、成城大学への推薦資格を持ったまま外部受験することができますので。
内部進学できる権利は、一定の基準(成績や出席など)を満たしていればもらえます。この基準は外部受験する者も内部進学する者も同じだったと思います。
また、2年生以降も外部受験をするしないは決められますが、外部受験を考えているならば、2年生時から受験生がいるクラスに入るべきです。
――内部進学先への推薦権を放棄して外部受験する付属校もあると聞いたことがあったので、外部受験で落ちても上に上がることが保証されるのはいいですね。ということは、⼤学受験時は、成城⼤学への推薦資格を保持しながら外部受験したということなのでしょうか?
いえ、実は結局、私は途中で外部受験一本に絞ろうと思い内部推薦の枠を辞退しました。高校3年生になって、やるからには早慶に行こう!と思って退路を断ったんです。私はそういう決断をしましたが、進路を悩んでいる人にとっては、推薦資格を持ったまま他大学を受験できるのは、直前までいろんな選択肢を考慮できるのでいい仕組みだと思います。
英単語や漢字など、基礎から積み上げる課題を出してくれる先生方
――すごいですね。相当な覚悟がないと、できることではないと思います。ちなみに先ほど、英語に関しては上のクラスで成績が良かったというお話もされていましたが、大学受験でも通用したのでしょうか?
そうですね!当時は今でいう共通テストではなくて、前身のセンター試験だったのですが、リスニングがかなり有利になりました。シンガポールにいたことが役立ったのだと思います。
――やっぱり海外に行って英語を学んだことは大学受験でも大いに生きたのですね。ただ、会話をするにもベースは一緒だと思うのですが、入試で問われる能力と実際にコミュニケーションする能力は微妙に異なる気がします。実用英語を学んでから、入試英語を勉強する中で、戸惑いはありませんでしたか?
そうですね……私は英文法などが不完全な状態で海外に行ってしまったので、現地での会話が感覚的なところから入ってしまったんです。だから、受験勉強を進めていくと、たまに英文法が難しくてつまずくことがありました。ただ、長文を読むのはすごく得意でしたので、それは現地での英語学習と対応していると思います。
――ありがとうございます。今度は英語以外の教科も含めた、学校での学習内容についてお伺いしていきたいと思います。まず、どれくらいの頻度で課題が課され、提出していたかを覚えている範囲内で教えていただけますでしょうか。
科目ごとにまちまちでしたが、例えば英語だと単語テスト、国語だと漢字テストは毎週あったと思います。文系科目は課題を出す先生が多かったですね。他にも、定期試験の前になれば英語の訳を覚えさせる小テストが課された気がします。小テストの前日や前々日くらいに、テスト範囲の文章をパソコンのワードで書いていた記憶があります。例えば左に”I have a pen.”って英文を書いて、その日本語訳「私はペンを持っている」を右に書いて覚えていました。
「⾃学⾃習」と「⾃治⾃律」。自ら学び、自ら動く生徒を支え続ける自慢の先生方
――基礎的なことをしっかり課す先生が多いのですね。Aさんは、ご自身の意思で塾や海外で勉強をしている印象が強いですが、何か学校で先生に教えていただいたことでよく覚えていることはありませんか?
2つあります!まず1つ目は、担任の先生に励ましていただいたことが印象に残っています。現役での受験を控えて、私が志望校のランクを早慶から下げるか悩んで弱気になっていたときに、「Aさんならもっと上いけるでしょ!」って後押ししてくれたんです。それがあったから、発奮して、本当に入りたかった大学に入れたので心からありがたいなと思います。あとで知ったのですが、その先生は私が入った早稲田の教育学部英語英文学科の卒業なので、これも何かの縁だと思いました。
――ええ、そんなドラマみたいなことがあるんですね!
浪人してしまったのですが、浪人時もずっと気にかけてくれて、連絡を取ってくれたので、とてもありがたかったです。2つ目は、生物基礎の先生のエピソードです。私が定期試験で目標点が取れなかったとき、進路が狭まる気がして結構落ち込んだことがあったんです。そのとき、「テストで失敗しても最後に合格すればいい。夢までの過程で失敗して絶望したら未来に一歩踏み出せない。うじうじしてないで一歩踏み出しな」って背中を押す言葉をくれたのが、すごく心の支えになりました。
――素晴らしい先生が多いのですね。そういう先生方に会えていれば、私も9浪しなくてすんだかもしれません。
はは(引き笑い)。とにかく、私が成城学園を出て一番誇れるのは、素晴らしい先生が大勢いらっしゃったことなんです。私はあいさつも含む、先生方とのコミュニケーションを大切にしていました。だから先生方は結構自分のこと知ってくれていて、よく気にかけてくれたんだと思います。先生方は、生徒に対してとても面倒見が良かったですし、直接授業を受けたことがない先生でも相談に乗ってくれたのは本当にありがたかったです。
――なるほど!最後の質問になってしまったのですが、成城学園中⾼は教育⽅針として「⾃学⾃習」と「⾃治⾃律」を掲げ、学校が規則で⽣徒を縛るよりは、⽣徒が⾃分で課題を発⾒して克服したり、⾃分で⾃分を律することに重きをおいているようですが、そのような精神を感じる取り組みはありましたか。
「⾃学⾃習」は、放課後に勉強できる場所として教室を解放してくれていたのが良かったですね。あとは、図書館に自習室があったので勉強に使っていましたが、すごく集中できました。自分で勉強する場所は整っていたと思います。
あと「自治自律」は、体育祭や文化祭などの行事に強くその色が出ていたと思います。先生からの指示で動くのではなく、生徒たちが自分たちで能動的に動いて行事を作り上げるので、勉強よりも行事でそちらは色濃く出ていましたね。自分をしっかり持っている人と、得意なことがある人は、とても楽しめる学校だと思います。
余談ですが、私は体育祭が一番好きでした。純粋に自分が運動が好きだったというのもあると思うのですが、生徒達が自ら盛り上げるのはもちろんのこと、先生も参加者のような勢いで盛り上げてくれる行事だったので、とても雰囲気が良かったんですね。一人一人、横断幕やダンスなどの担当を決めて、「チームの勝利に向けて団結して頑張ろう!」ってみんな一生懸命にやっていました。そうしてすごく盛り上がったのも、後から思えば、先生方の支えのおかげですね。本当にこの学校に入って、良かったと思いました。
その他細かい情報
・校則について
携帯電話の持ち込みは可能。しかし、校内の使用は認められておらず、みんなロッカーにしまっていた。
・学⾷について
中学生も高校生も使える。Aさんおすすめのメニューは「成城オムライス」。麦が混ざって食感の変わるお米に、ふわふわの卵が乗って、しょっぱすぎず甘すぎない絶妙な味付けのソースがかかって絶品。
・購買について
ある。そこで⾷べ物を買っている人もいたが、Aさんは個人的に学食がオススメという。
・プールの授業について
中学の時はあったが、高校ではなかった。プール自体は屋内も屋外もあって、屋内は温水。
・中学時代・高校時代の部活について
中学時代はダンス部で、週3〜4回活動していた。高校ではフィールドホッケー部に入っていて、活動頻度も変わらず週3~4回か、もしくは5回くらい。
・いじめはあったか。いじめ防⽌策は何かやっているか。
中学は内部の結束が強いから、人によっては高入生に対して排他的なこともあった。ただ、先生の面倒見がいいので、異変に気づいて大事になる前にフォローしてくれる。
インタビュアーあとがき
海外に数年行っても国語の成績を落とさず、一般入試で早稲田に入れたAさんの凄さを感じるとともに、学校側のバックアップがすごいと思いました。学校自体の活気・先生方の姿勢もさることながら、成城大学という素晴らしい大学にそのまま上がる選択肢もある中で、推薦権を持ったまま他大学に挑戦する人が大勢いることに、まさに学校が謳う「⾃学⾃習」と「⾃治⾃律」の精神を感じました。
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