明治大学付属明治中学校の卒業生に学校のリアルをインタビュー

大学付属校という周りが大学受験をしない環境で、黙々と受験勉強し、外部受験に挑戦した孤高の努力家

インタビュー日:2022年12月14日

卒業生経歴

明治大学付属明治中学校 → 明治大学付属明治高等学校 → 明治大学1年(インタビュー時)
本日は明治大学付属明治中学校に入学しながらも、在学中に将来やりたいことが見つかり、その進路に進むため大学進学時には外部受験をした珍しい経歴の持ち主にインタビューしました。周りに流されず受験勉強をやり続けたようです。でも勉強一色ということもなく、文化祭や体育祭、英語のディベート大会など、中高生らしい学生生活を謳歌された卒業生の6年間をお読みください。
大学付属校である明治大学付属明治中学校に入学するも、大学は外部受験に方向転換
――まずは、明治大学付属明治中学校にご入学された動機を教えてください。 小学校低学年くらいの頃に、当時従兄弟が開成中に通っていて、開成中の文化祭にも呼ばれたりしていました。その頃からぼんやりと私立中っていいなとか、トップレベルの中学っていいなという思いが芽生えて、小学校4年生の頃に自分も中学受験しようと決意して、四谷大塚に通い始めました。 明治大学付属明治中学校を第一志望にしたのは、家から近かったことと、あとはプールがないことが決め手でした。僕は水泳が苦手でしたので…。もちろん、文化祭や学校見学会にも参加して、在校生が話しかけてくれたりして、とても雰囲気が良かったのも魅力的でした。 ――親からの誘導ではなく、自分で中学受験をすると決めたということですか? そうですね。両親はあまり勉強には口を出さない方針で、「勉強するもしないも自分の自由だからやりたいようにやれ。やりたいことへのお金は出す。ただし責任は自分でとれ」という方針でした。なので、本当に自分の意志で中学受験をすると決めましたね。 ――それは珍しいご家庭ですね!小学生ながら自分の意志で進む道を決められたのはすごいことだと思います。やはり大学付属ということも同校の魅力の一つでしたでしょうか。 大学付属ということについては、そこまで興味はありませんでした。実際、僕は大学進学時に外部受験をしています。 ――なんと!外部受験に至る経緯を詳しく教えてください。 中学3年生の頃に部活の友達のお父様が五大商社の一角である三井物産勤務の方でした。友達からお父様の仕事の話を聞いたときに、一気に商社の仕事に興味が湧きました。商社マンの仕事内容を調べていくうちに、海外で大きな仕事をダイナミックに動かす姿が目に浮かぶようになり、商社に行きたい!できれば五大商社で働きたい!と強く思うようになりました。 ただ、五大商社に就職している方の学歴は、統計などを見ると、早稲田大学や慶應大学出身の方が多かったので、このどちらかに進学した方が商社への道は広がると思い、外部受験を決意しました。 ――中学3年生の頃から明確に自分の将来像を描けていたのは素晴らしいと思います。周りは付属の明治大学に進学する人が多い中で、外部受験をするにあたっての苦労などはありませんでしたか。 そうですね、まずは自分を受験モードにし続けることはそれなりに大変でした。特に高校3年時の自分の緊張感と、周りの自由を謳歌する雰囲気の違いは精神的にきつかったです。ただ、その時は最後の1年悔いなくやり切らなきゃという思いを常に持って、勉強し続けました。それに、少数ながらも、自分以外にも外部受験する友達はいたので、そういう人と切磋琢磨しながら、緊張感を保っていました。 他の苦労としては、明治大学付属明治高校では、高校3年生進学時に文理選択をするので、高校2年生までは、文系科目も理系科目も分け隔てなく履修必須ということでした。早慶という私立文系を狙っていた自分は、受験で使う科目は限られていたので、受験で使わない科目について学校の勉強が少々過大に感じることもありました。もちろん、明治大学に内部進学する人にとっては、早期に将来の選択肢を狭めない良い方針だと思います。 また、授業内容も、大学受験を前提とした進学校よりも平易だったと感じており、大学受験に必要な内容まで習得するためには学校以外で補強しなければいけませんでした。この授業内容についても、内部進学する人にとっては良いものなのだと思います。学校側としては、せっかくの大学付属校なので、受験勉強に捉われずに多様な人生経験を学生に積んでほしいという考えなのだと推測します。 ――学校以外での補強というと、やはり予備校に通っていたのでしょうか。 そうですね。大学受験勉強を本格的に始めようと思った高校1年生の頃に、親に予備校に行かせてほしいと頼みました。東進という予備校に通い始め、高校3年生からは予備校を駿台に変更して大学受験勉強を進めました。 ――自分で親御様に予備校をお願いするとは、ここでも意志の強さが表れていますね。受験結果はどうだったのでしょうか。 残念ながら一歩届かず、志望していた早慶の学部からはご縁をいただくことができませんでした。 ――受験仲間も少ない状況で必死に努力した様子が伝わってきたので、非常に残念に思います。でもその経験は今でも役立っているのではないでしょうか。 そうですね。五大商社で働くという目標は全然捨てておらず、むしろ願望が強まったと思います。大学受験では希望の進路に進めなかったことが本当に悔しかったので、大学では、商社に就職し活躍するという目標達成のために今からできることは悔いなくやりきろうという思いで日々過ごしています。 将来海外で働くことを考えると、学生のうちに海外経験を積んで、その雰囲気を感じ取っていた方が良いと思い、大学1年生の夏に明治大学のプログラムでケンブリッジ大学に1ヶ月間留学しました。英語で法律の授業を受けること、アカデミックな英語を読むこと、優秀な外国人と話すことなど、初めてのことに大いに刺激を受けました。ますます海外で、できれば商社で働きたいという思いが強まりました。今後はさらに長期に留学することを考え、大学の授業や勉強の合間にアルバイトをして留学資金を貯めており、なかなか大変な生活です。 大学受験の経験は、将来の夢に向かって懸命に動くための原動力に確実になってくれています。 ――大学受験勉強を一生懸命したから、それが今活きているんでしょうね。そういえば、明治大学付属明治高校は、外部受験をしても明治大学への推薦はもらえるのでしょうか。 推薦で志望する学部によります。学部によって制限が厳しかったり、緩かったり、ということがあります。例えば、僕が明治大学法学部を選んだのは、他の大学を受ける際の制限が緩かったからです。制限の例としては、志望した学部と同じ系統の学部しか受けてはいけないとか、国立大学しか受けてはいけないとか、があります。制限はありますが、その制限と成績の要件をクリアしていれば、他の大学を受験しても明治大学への推薦はいただけます。 ――そのようなルールになっているんですね。外部受験をしても明治大学に進学できるのは良い制度ですね。
受験勉強をしながらも、体育祭や文化祭ではリーダーシップを発揮しイベントを満喫
――大学付属校で外部受験をすることについてのお話ありがとうございました。ここからは明治大学付属明治中高の教育や学校生活についてお聞きしたいと思います。学生から見た同校の教育の特徴をお教えください。 明治大学に内部進学することを前提に、受験勉強では吸収できないことを身につけさせたいという学校側の意図を感じました。社会に出た後のことを考えて準備させてくれている印象です。例えば、何かを調べて発表するという課題はよく出されました。自分の考えを伝えるということの難しさを知るとともに、調査方法やパワポ作成方法など、要素スキルを確実に身につけられました。また、一つの大きなテーマのもと、ある程度の期間調査して論文に仕上げるといった課題もあり、その経験は大学生になった今本当に役立っています。 一方で、数学や英語といった、いわゆる学力の基礎は徹底的に鍛え、おろそかにしてはいけないという方針でした。毎日のように英語の単語テストなどの小テストがあり、基礎知識に穴が出ないような教育になっていたと思います。 思えば、しっかりした基礎学力を土台に、社会に出て活躍するための素地を作ろうとしてくれていましたね。 ――大学付属校ならではの将来を見据えた教育ですね。それでは学校生活の話に移りたいと思います。部活動は何かされていましたか。 中学では書道部とテニス部を掛け持ちしていました。高校では大学受験のためにやめました。でも明治大学に内部進学するつもりの人達は高校3年間部活を続ける人が多いです。練習頻度も多く、全体的に活動は盛んだと思います。 実は僕は中高生が部活をするということが既定路線のようになっているのが好きではありませんでした。だから大学受験のために自分の時間を使う、そのために部活を辞めるという選択に迷いはありませんでした。でも中学で部活をしたことは、交友関係が広がって良かったと思っています。僕が商社を目指すきっかけをくれた友人もテニス部の友達でしたから。 高校では部活を辞めた代わりに、受験勉強を頑張るのはもちろんのこと、将来のことを考え英語に力を入れたいと思い、英語のディベート大会に参加しました。新人戦で全国2位の結果を残すことができ、英語に自信が持てるようになりました。 ――確かに、将来進もうとする道が見えている場合は、その目標に向けた最適な時間の使い方をするのが良いですね。校則についてはどのように感じていましたか。 個人的には細かいところまで注意されて厳しかったなと思います。例えば男子なら学ランの第一ボタンまで掛けないといけないとか、女子ならスカートの丈は膝下にするとか化粧禁止とか。スマホについては、校内で使用禁止で、使っているところが見つかると没収されます。 ――身なりやスマホの使用について細かいルールがあるのですね。それでは学校生活について最後の質問です。文化祭や体育祭は楽しめましたか。 他の人がどうかはわからないですが、僕自身は自分の仕事があって、責任感を持ってやり切ったので充実していましたね。 中3の時に、体育祭の実行委員長になったんです。他の人が誰も立候補しなかったので、だったら僕がやるかという感じで、初めはそこまで乗り気ではありませんでした。でもいざ任されると、委員達に指示を出して準備を進めたり、体育祭本番でスピーチをしたりと、リーダーシップを磨く良い経験ができたと思います。スピーチが終わった後、内容を先生に褒められたのは嬉しかったですね。 文化祭でも、高校1年生のころにクラスの出し物のリーダーをやりました。シューティングゲームのような出し物をしたのですが、来場者の人気投票では1位となりました。企画からみんなで話し合ったり、必要な材料をドンキホーテまで買いに行ったりして、文化祭についても充実した時間を過ごせたと思います。 自分から主体的に動けば、どのイベントも楽しめると思いますよ。
内部進学を前提とした自由な時間の多さとチャレンジができる環境が魅力
――明治大学付属明治中高の学校生活のイメージが持てました。最後に、どのような人が同校にフィットすると思いますか。 明治大学に進学希望の学生はもちろんフィットすると思います。他には大学付属校の良さを活かし、受験勉強のない中高6年間で好きなことを思う存分やりたい人も合うと思います。何かスポーツや音楽、その他分野は何でもいいですが、夢中になれるものを持っている人は充実した学校生活を送れるでしょう。 僕は在学中に外部受験の道へと切り替えて、大学受験では悔しい思いをしましたが、それでも良い中高時代だったと思います。文化祭や体育祭でのリーダーとしての経験、商社を志すきっかけなどなど、かけがえのないものを沢山得ることができました。もちろん、大学受験をすると決めてからは辛いこともありましたが、明治の推薦を持ちながら外部受験をできることなど、振り返れば明治大学付属明治の懐は深かったと思います。
その他細かい情報
・食堂について 中学生も使える。うどんカレーが美味しかった。 ・購買部について 明大マートという購買部はあるが、文房具などを売っており、軽食の販売はなかった。軽食については、パンと飲み物の自動販売機があった。 ・プールについて 上でも述べたが、プールはなく、プールの授業もない。水泳部はあり、練習は明治大学のプールで行っている模様。 ・留年・退学について 成績基準に満たない人など、中学から高校に上がれない人が5人ほどいた。高校でも留年する人が少ないながらいて、僕の代では高校3年間で10人ほど留年していたと思う。ただ、留年しても、通常の成績要件などを満たせば明治大学への推薦はもらえる模様。 ・いじめについて 自分の知る限りなかった。全体的に人間関係は良好だったと感じる。 ・内部進学生と高校入学生(高入生)の学力差について 高校1年時点では、高入生の方が平均して学力が高い。特に英語は差が大きかったと思う。 ・学校公式の成人式 存在を聞いたことはない。 ・その他明治大学付属明治中高の良いところ 明治大学に進学すると、入学当初から友達が多い。 部活の先輩後輩の繋がりが長期間続く。OBOGとの繋がりも濃い。 スクールバスが便利(京王線調布駅・飛田給駅、中央線三鷹駅、南武線矢野口駅から運行)。 校舎がとても綺麗。

インタビュアーあとがき

大学1年生といえば、普通なら受験生活から解放された反動で遊んでしまう時期。そんな時期でも怠けることなく勉強・アルバイト・将来のための調査などに時間を使う姿は鬼気迫るものを感じました。その努力の源が大学受験にあったということから、大学付属校でも燃えるような受験生活を送ることができるんだと認識を改めさせてくれました。自分の希望する進路を勝ち取ることを心から願っています。
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