東京女学館中学校の卒業生に学校のリアルをインタビュー
国際学級で鍛えられた自分を主張する力や、6年間クラスを共にした友達との絆は生涯消えることのない大きな財産
聞き手:
インタビュー日:2022年12月14日
卒業生経歴
東京女学館中学校(国際学級) → 東京女学館高等学校(国際学級) → GMARCHの大学生(インタビュー当時)
今回は、東京女学館中学校・高等学校の国際学級で中高生時代を過ごされたAさんにお話を聞きました。国際学級は6年間クラス替えのないシステムで、かつ、帰国子女の方が多い環境。異文化感の漂うクラスで、仲間と密度の濃い学校生活を送り、自分の意思を伝える力を鍛え上げられたそうです。お楽しみください。
6年間クラス替えがなく、確かな信頼関係を築ける国際学級
――それではまず、東京女学館を進学先として選ばれた理由をお聞かせください。
小学生の頃はあまり勉強する意義がわからず、ただ親が導くままに勉強していました。ですので、受験先についても、基本的に親が選んだ候補の中から選んびました。私の希望としてはプールの授業がない学校がよかったので、最終的に東京女学館、かえつ有明などに絞りました。受かった学校の中から親の勧めに従って東京女学館に入学しました。
――多くの小学生は、自分で進学先を決めるのは難しいですよね。東京女学館には帰国子女が多く国際色の強いクラスの国際学級と、その他のクラスの一般学級がありますが、どちらに入学されたのでしょうか。
国際学級です。一般学級向けの入試も受けたのですが、合格をもらえず、国際学級に入学しました。でもそれが結果的にはとても良かったと思っています。
――国際学級の特徴がAさんに合っていたということでしょうか。国際学級にはどのような特徴がありますか。
まず6年間クラス替えがないんです。だからみんなすごく仲良くなって、お互いのことを深く理解し合えるようになります。
私は東京女学館に入学する前は、自分の考えを伝えるのを遠慮しがちな、大人しい性格でした。ですが、東京女学館の6年間で、相手に自分の考えをしっかり伝えられるようになりました。これは、国際学級のみんなと長い時間を過ごすことで、みんなが自分を受け入れてくれているという感覚を持てたからです。だから、安心して自分の考えを表に出すことができました。クラス替えがあったら、ここまで深くお互いのことを知って思いやるということはできなかったと思います。
東京女学館での生活で自分の考えを伝える能力が磨かれた結果、大学に入ってからも物怖じせず意見を言うことができています。
――良い意味で強さを身につけたようですね。国際学級は6年間クラス替えがないとのことですが、国際学級の生徒は一般学級の生徒と交流がありますか。
学校行事などで交流はありますが、一番仲良くなれるのは部活だと思います。同じ部活動をしている一般学級の生徒と仲良くなれます。部活をしていない国際学級の生徒は、部活をしている国際学級の生徒を介して一般学級の生徒と仲良くなることがありますね。
――国際学級の皆さんがお互いを思いやり認め合う姿がよく伝わってきました。それでは、学習面ではどんな特徴がありましたか。
留学の機会が豊富です。ただそれをきっかけに、海外の学校に転校する子も多かったです。そのため、入学当初はクラスの人数は40人ほどでしたが、卒業する時には30人弱になっていました。でもみんなポジティブな理由で転校していましたよ。海外の文化に魅力を感じたとか、将来的に海外で活躍したいから早くからそういう環境に身を置いた方が良いと思った、などです。
――海外で学ぶことで得られるものが多いと分かっていても、普通はなかなか実行に踏み切れないものです。なのに、若いうちから実行できるとは、行動力のある方が多いのですね。やはり英語力はおしなべて高いのでしょうか。
もちろん帰国子女など、入学当初から英語がペラペラな人も一定数います。しかし、英語の試験を受けずに入学できますので、入学時は英語が全然できない子も多いです。ご想像の通り、国際学級の英語力は高いですが、6年間通して、英語が身近にある環境で過ごすことによって、みんなのレベルが高まっていくイメージです。
入学時は英語については、習熟度別に3グループに分けられました。でも、皆の力の差がなくなってくると一部クラスが統合され、最終的には2グループになりました。
――国際学級で英語力が順調に鍛えられる理由は何だと思いますか。
まず課題は多いです。中学の間は、英語の授業ではほぼ毎回宿題が出ますし、夏休みも多めの宿題を課されました。提出しないと、もちろん提出するまで催促されます。高校になると、管理の頻度が減り、学期末までにやるべき課題を示されて、学期末にまとめて提出という形式になりました。高校生ですから自分で管理できると信頼してくれているのかもしれません。
あとは、周りに帰国子女が多い環境で刺激を受けるということもあると思います。
自分の主張をしっかり伝える環境で、自分も強くなる
――次に国際学級の雰囲気、空気感というものを聞いていきたいと思います。国際学級は帰国子女が多く、少し一般のクラスとは違う雰囲気になりそうですが、どうでしたでしょうか。
ご想像の通り、異文化感が強かった印象はあります。帰国子女の生徒は育った国も様々で、多様な価値観を持っています。日本の小学校で育った自分には新鮮な感覚でした。それぞれが異なる価値観を持っていても、それを押し付けることなく、相手の価値観を尊重していました。先ほども述べたように、みんながお互いを受け入れる空気感があり、私にはそれが心地よかったです。
とはいえ、それは空気を読んで自分の思いを表に出さないということではなく、皆が自分の主張をしっかり伝え合い、受け止め合うというような、非常に真っ直ぐな人間関係を作れていたと感じています。価値観の違う人をはみ出しものにするというような陰湿さは全くありませんでした。
――お互いの主張が異なる時に、仲が悪くなったりはしませんでしたか。
主張が違うことと、仲が悪くなることは全く別の話です。お互い、自分の考えを正直に伝え合って、それが異なっていれば、その点では自分とは別の考えなんだと納得するわけです。友人間で意見が異なる場面はたくさんありましたが、それで友情にヒビが入るなんてことはありませんでした。むしろ、相手の考えを深く知ることができ、お互いがより快適に過ごせるよう振る舞うことができます。
――そういうはっきりと主張を伝える生徒が多い環境だと、大人しい子は埋もれてしまいませんでしたか。
そういう生徒に囲まれて6年間過ごすと、自分も影響されて段々強くなっていきます。私自身、先ほども述べたように、小学校時代は大人しい生徒でした。でも国際学級の友人と過ごしているうちに、いつの間にか、自分も積極的に発言できる力を身につけていました。
細やかな校則で生徒を守り、品性を育てる
――主張し合い認め合う、国際学級の素晴らしい空気感が伝わってきました。それでは次に生活面についてお聞かせください。校則は厳しかったでしょうか。
やや厳しい方だと思います。細かいルールが色々ありました。化粧禁止、セーラー服の肩に髪が掛かっていたら結ばなければいけないなど。スカート丈は膝下で、冬はポケットに手を入れてはいけない、といったルールもありましたね。破っている人もいましたがしっかり注意されていましたよ。携帯は校内への持ち込みがバレたら取り上げられます。あとは遅刻には厳しかったです。1学期ごとに遅刻を5回してしまうと保護者が呼び出されます。厳しめの校則でしたが、生徒を守ろうとしてくれているという意識が伝わってきました。
――生徒の安全を考えたり、学業への集中を促すための校則なのでしょうね。下校時は自由に遊べましたか。
遊ばず真っ直ぐ帰るように指導されていました。友達はみんな、ほとんどいつも真っ直ぐ帰っていましたよ。でもたまにマックでおしゃべりして帰りたくなる日もあり…。先生が渋谷など生徒が遊びそうなエリアをパトロールしていることもあるので、見つからないよう祈っていましたね。
――下校時に友達と軽食を食べながらおしゃべりするのは青春ですよね。東京女学館の生徒は品格高いお嬢様というイメージがあるのですが、そういう教育はありましたか。
お嬢様的なことかどうかはわかりませんが、テーブルマナー研修や、日本の伝統芸能についての講習はありました。生花、茶道、書道など、それぞれ1回ずつ講習を受けましたね。
――良いですね。日本人として人生に一度くらいは触れておくと教養になると思います。
6年を共にした国際学級の友達は生涯の大きな財産
――それではまとめに入ります。どのような人が東京女学館の国際学級に合うと思いますか。
やはりまずは、生涯付き合えるような、関係が長く続く友達が欲しい人ですね。6年間一緒に過ごす仲間との絆の深さは想像以上のものです。また、自分の考えをはっきり伝えられる人も合うと思いますし、今そうではなくても、これから積極性を身につけていきたいと思う人にも合っていると思います。国際学級の中にいれば、自ずと積極性が身についていきます。
――最後に、東京女学館国際学級に入学してよかったと思いますか。
もちろん、思います。かけがえのない多くの友達を得られましたから。
その他細かい情報
・食堂について
中学生も使える。質は普通だと思う。
・プールについて
プールの授業はない。水泳部のためにプールはある。
・各種イベントについて
文化祭は研究発表会のよう。何かテーマについて調べて、調査結果を模造紙に書き、壁に貼っている。飲食や遊びの出店はなかった。学校の雰囲気をしっかり知りたいのであれば学校説明会に行くのがおすすめ。
体育祭は他校と同様の運動会。運動部の活躍が目立つ。
旅行系のイベントについては、高校生の時に国際学級のみアメリカに旅行したが、それが特に楽しかった。現地の学生とグループディスカッションしたり、ミュージカルを見たり。皆で寮で過ごしたのも楽しかった。
・退学・留年について
成績が悪くても救ってくれる印象。自分の学年で、成績が理由で退学・留年した人は自分の知る限りいなかった。
・いじめについて
国際学級は先に述べたように、みんな非常に仲が良く、いじめはなかった。
・不登校について
不登校者はごく少数いたが、保健室の中に区切られた部屋があり、そこに保健室登校できるなど配慮されていた。
・学校公式の成人式
あると聞いている。
・卒業後の男性とのコミュニケーション
多少の話しにくさは感じているが、段々慣れているところ。
インタビュアーあとがき
今回のご卒業生は、東京女学館中高の国際学級の仲間との絆が自信となり、大学で頑張る力にもなっているような、そんな印象を受けました。これからも、中高時代に身につけた積極性や自分の考えを伝える力を活かして、活躍の場を広げていかれることと思います。
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